クマゼミ
セミは我々に夏の訪れを告げてくれる、非常に身近な昆虫です。普段目にすることができる種類だけでもアブラゼミ、ミンミンゼミ、ニイニイゼミ、ヒグラシなど様々な種類があり、
その鳴き声で私たちを楽しませてくれます。その中でもここで取り上げるクマゼミ(学名:Cryptotympana facialis)は体が大きいせいもあって非常に声が大きく、
暑い日にはその声がうっとうしく感じられてしまうほどです。その鳴き声は「シャワシャワシャワ」という声の前後に「ジー」という長い声が入ります。
透明な翅につやのある黒い体をしており、明るい緑色をした翅脈がアクセントになって目を引きます。西日本や太平洋側を中心に生活していますので、
大阪の人には非常になじみが深いセミですが、東京の人はあまり見かけたことが無いかもしれません。
セミの仲間は幼虫時代が非常に長く地中で数年間を過ごします。そして成虫になると、1週間ほどで一生を終えてしまうことが一般に知られています。
そのような生活の特徴を持っているためか、こんなにも身近な昆虫なのに、その生態についてはまだあまり詳しくはわかっていません。
したがって、クマゼミについてもあまり詳しいことはわかっていないのが実情です。
しかし最近の調査で、クマゼミの幼虫の期間が2年から8年の間でばらつきがあることや、毎年の発生数に8年の周期があることなどがわかってきました。
クマゼミは何年かに一度に大発生することがありますが、それが8年間の周期になっていることがわかったのです。その周期によると、今年(2007年)は大発生の年となるそうで、
関西の人にとってはとても悩ましい夏になるかもしれません。
しかし、東京の人にとって全く関係がないかと言うと、そうでもなくなりそうです。今まで西日本で生活していたこのクマゼミたちは、最近になってどんどん東に生息地を広げてきています。
去年は、ついに神奈川県や千葉県の沿岸部で抜け殻が発見されるまでになり、関東でも太平洋沿岸部では相当定着していると考えられます。
この原因として、ヒートアイランド現象や温暖化の進行によって都市部の気温が上がっていることが挙げられていますが、必ずしもこれだけが原因とは言えません。
というのは、例えば都市の緑化のための植樹用に樹木を運んでくるときに、その木の根の周りの土と一緒にクマゼミの幼虫が運ばれて来た例があるからです。
関東地方に流入してきたクマゼミたちの中には、こうして人の手によって運ばれてきたものがかなりの数含まれているはずです。
このように、人間の生活が発展するにつれて次第に生き物たちの棲み分け区分が曖昧になっていることも認識しておかなければならないでしょう。
ただ、東京ではミンミンゼミなどの先住者が居座っていますから、簡単にクマゼミが増えることはできないだろうと予想されてはいます。
クマゼミが大発生する年には、大阪などのクマゼミが大量に生活している都市では、キンモクセイなどの木にたくさん群がって樹液を吸っているところを見ることができます。
一本の木に数十匹がとまっていることも珍しくはありません。もしクマゼミがライバルたちに打ち勝てば、近い将来東京でもそんな様子が見られるようになるかもしれません。