オオマルハナバチ
今回はオオマルハナバチの中でも、エゾオオマルハナバチ(学名:B. hypocrita sapporoensis Cockerell)を取り上げたいと思います。
オオマルハナバチは日常生活の中でもよく目にする昆虫の1つで、花の受粉などにも積極的に利用されています。エゾオオマルハナバチは、
名前に「エゾ」とついていることからわかる通り、オオマルハナバチのなかでも北海道に生息する固有種です。学名にも「sapporo」と入っていますね。
なお、北海道ではマルハナバチの仲間をさして「クマ(ン)バチ」と呼ぶことがありますが、「クマバチ」という名前の別のハチが存在しますので、
この呼び名は厳密には誤解を招く呼び方と言えます。見た目が熊のようにまるまるとしているところから来たのでしょうか。
エゾオオマルハナバチは体も立派で、20mmほどもある大きな体をしています。さらに、体中が毛で覆われており、羽音も大きいので、怖い蜂と思われがちです。
しかし実際にはミツバチの仲間であり、花の蜜や花粉を集めるおとなしいハチです。巣に近づいたり危害を加えたりしなければ、刺されることもまずありません。
ほとんどの場合は、人間に対して無関心で、特に蜜を集めている途中ならば近づいても気にすることはありません。
そういうときには、とても近くから様子を観察したり写真を撮ったりすることができます。
最初に書いた通り、エゾオオマルハナバチは北海道に住む固有の在来種です。マルハナバチは、元来持っている花の蜜や花粉を集める習性から、
様々な植物の栽培のために利用され、農業においても結実のために活用されてきました。しかし、他のあらゆる在来種がさらされているように、外来種からの圧迫を受けてその数を減らしています。
さらに、ライバルとなるのは外来種だけではありません。他の地域に固有の在来種もライバルになってしまいます。
特に外来種ではセイヨウオオマルハナバチが、在来種ではクロマルハナバチがライバルになっていますが、これらの品種は植物の受粉の効率などの面から産業界で導入が推進されています。
そのため、栽培の様々な過程で導入された結果、集団が逃げ出すなどして地元で定着したものが、エゾマルハナバチのすみかとなる場所や餌となる花粉を奪ってしまっているのです。
これは生態系の面から考えても、非常に重要な問題と言えるでしょう。同様の問題は、同じハチの例ではニホンミツバチとセイヨウミツバチの間でもおこっています。
このように、ハチという昆虫は人間と長い間共存し、人間の役に立ってきた昆虫です。それだけに、人間は自分の都合を優先させてきた事情があります。
もし今後とも無計画にセイヨウオオマルハナバチの導入が推進され続けたら、北海道固有のエゾマルハナバチの姿が見られなくなってしまうかもしれません。
もちろん、人間の効率化も大切ですが、そのためには脱走や廃棄などを厳しく規制し、十分な管理のもとに外来種を導入することが重要です。